昭和に売春防止法が施行されて以降、花魁という職業は姿を消しました。
けれど太夫は、消えませんでした。
「芸事の最高位」として
太夫が受け継がれたのは、遊興の存在としてではありません。
舞、音曲、和歌、茶道、香道――数々の芸を極めた「芸事の最高位」として、その名は現代に残りました。
もともと太夫とは、芸に秀でた者に与えられた称号です。その起源に立ち返るかたちで、太夫は今日まで生き続けているとも言えるでしょう。
輪違屋に、今も太夫がいる
現在も、京都・島原の輪違屋(わちがいや)には、数名の太夫が在籍しています。
輪違屋は元禄時代から続く、非常に歴史のある置屋です。何百年もの時を越えて受け継がれてきたこの場所で、今なお太夫の舞や芸に触れられる――そのことに、どこか胸を打たれるものがあります。
圧巻の、太夫道中
季節ごとに、京都の寺社仏閣などで太夫道中が披露されたり、舞が奉納されたりすることがあります。
なかでも、禿(かむろ)を従えて静かに練り歩く太夫道中は、まさに圧巻です。
凛とした空気のなか、背筋を伸ばし、ゆっくりと内八文字で歩む。ただ美しいだけではありません。長い歴史と、誇りが、その姿には宿っています。
一歩、また一歩。その足取りには、過去から現代へと受け継がれてきた文化の重みが刻まれています。
一度目にすれば、きっと忘れられない光景となるでしょう。
その姿に、出会うために
太夫の姿を実際に見られる機会は、決して多くありません。
だからこそ、京都を訪れる際には、ぜひ調べてみてください。寺社の行事や奉納の予定に、その名が見つかるかもしれません。
歴史のなかに息づく美しさに、きっと心を動かされるはずです。太夫は、過去の存在ではありません。今も京都のどこかで、静かに、確かに、その芸を継いでいるのです。
